ベトナム人材採用で知っておくべきこと

高度人材エンジニア・介護人材・留学生・外国人技能実習生ときどき特定技能

ベトナム人材が選ばれる6つの理由

近年、その人材需要が激増している「ベトナム」について、今回はなぜ「ベトナム人材」が選ばれるのかという理由を「6つの理由」としてお示しします。

理由1:「勤勉」、「真面目」なベトナム人気質

ベトナム人は、老若男女を問わず他のアジア諸国の人材に比較して総じて「勤勉」であり、「真面目」であると言われています。筆者も実際にベトナムや日本で就労する多くの外国人を見てきましたが、なかでも勤勉さは受入企業様でも評価されています。在日外国人には「中国人」「韓国人」「フィリピン人」「タイ人」「ブラジル人」「ペルー人」等さまざまいますが、比較的日本人と相性が良く、近い感覚を持っているのが、ベトナム人と言えるかもしれません。

理由2:人件費が安価である

これまで数多くの中国人留学生(今でも継続していますが)が日本で就労していましたが、すでに本国(中国)での給与水準が高くなり、留学生自体の質の低下、日本国内での賃金の高騰が見られます。しかし、ベトナム人材に関しては、まだまだ安価に就労してもらうことが可能です。日本国内で雇用する以上は、日本の労働基準法等各種法律に則って就労しなければなりませんが、それを守っていれば、日本人の応募が見込めない給与でも意欲的に働いてくれます。「質」と「数」それに「経費」を考えあわせ最も企業経営にとってバランスの良い人材として、「ベトナム人材」が選ばれています。

理由3:教育水準が高い

ベトナムは、社会主義国ということで、社会制度が整備されているため、教育水準が高く、識字率は90%超、若年層に絞れば、98%超とも言われ、非常に高くなっています。まだまだ外資系企業に頼った経済事情もあり、語学教育が盛んで、「漢字」を理解できる若者や英語が出来る人材も多くいます。特に日本語については、子供の頃から「ドラえもん」や「名探偵コナン」「NARUTO」など日本のアニメに親しんでいることもあり、本格的な学習前から、挨拶はもちろん、簡単な日本語を話せる人もいるほど。来日時までの理解度の速さにおいては定評があります。

理由4:家族愛が豊かでガッツがある

ベトナム人は家族への思いが非常に強く、家族のために少しでも多く働こうとします。そのため、諸手当のつく休日出勤を初め、残業も進んでこなしてくれます。さらに効率よく作業を進め、より生産性を高めるために作業技術や知識をいち早く習得しようという意欲にあふれています。したがって、こうした彼らベトナム人に対して、会社から母国に残している家族に対する配慮が垣間見えることで本人の会社への帰属意識、信頼度が高まり職場内人間関係が円滑に進むことになります。

理由5:職場の活力となる

ベトナム人に限らず外国人就労者が自社の職場に溶け込むには、受入企業側にそれ相応の準備が必要になります。その為、改めて自分自身の職務を見直すこと、さらにはどのように教えたら最も伝わるのか、技術を身に付けられるのか、やりがいを感じてくれるのか、ということを日本人就労者が考えるようになり、単に日本人の新人を雇用するよりも職場の活性化につながっているというお話もお伺いします。

理由6:ベトナム進出へのきっかけに

これまで海外進出を考えていなかった企業様が、社内で働いていたベトナム人が帰国する段階で、彼の雇用先を確保するために、海外進出するというケースがあります。現地での募集では、いくらいい人材でも信用することは難しいですが、数年間かけて互いに信頼関係を築くことができれば、これほど適した人材もいません。もちろん、ベトナムが進出先として、ビジネス的なメリットが得られるということが大前提です。企業戦略として、ベトナムに目を付け、将来的な拠点開設を見据え、現地工場の幹部候補として、ベトナム人を日本で採用し、育成するケースも増えています。

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通勤ラッシュには、歩道にまでバイクがあふれる

 

外国人就労者増加の背景

労働人口減少が引き起こす深刻な人手不足 

現在、日本の就労現場における若手就労人口が頭打ちの状態を呈し始めています。この第一の原因は国内における少子高齢化に伴う就労人口全体の減少にあります。このことは、総務省統計局発表のデータで「15歳以上人口」の推移を見ても明らかなように、対前年同月比の人口増減をみますと2017年2月以降、毎月対前年マイナスになっています。(総務省統計局データ:http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/の時系列表第2表参照)

定年延長、就労に関する処遇改善、障がい者雇用促進など政府、企業など種々方策は講じているものの、年々企業の原動力となる働き手が減少している様子が伺えます。一方、政府の発表(労働力調査)によれば、日本における全就業者数は約6,700万人で65ヵ月連続の増加、完全失業者数は約160万人と96ヵ月連続の減少を謳っています。(同:http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/ のポイント参照)
しかし、現場での実感はどうでしょうか。現在の就労人口の「結果」だけを考えると政府発表通りだと考えられますが、将来の状況は決して楽観できる状況にはないことがお分かり頂けるでしょう。

人事担当者の悩み

このページをお読みの方々の中には、自社のリクルーティング活動に日々悩まれている方も多くおられることだと思います。自社の成長は無論、業績維持・発展という基本的なことを目的とした「人材確保」をどのようにすれば良いのかを悩まれていることを切実に感じます。若く活気のある、しかも定着する人材をどのようにすれば確保できるのかを日々悩み、切実な問題として捉えられておられる経営者や人事担当者が増えています。今はなんとかやりくりできているものの、そうした悩みが喫緊の課題だと思われている方々も含め、本ページこのコラムを通じて海外人材、特にベトナム人材をご紹介したいと思います。

海外人材の日本労働市場への浸透

日本の人手不足を埋め合わせるために増加しているのが、外国人人材です。建設業や農業などかねてから人手不足が叫ばれていた業種はもちろん、コンビニエンスストア、居酒屋、スーパーマーケットなどのサービス業にまで、いまや外国人人材なしには立ちいかない状況になっていると言っても過言ではありません。「外国人技能実習制度」により建設業や農業、水産加工業、製造業等の分野で外国人就労者は受け入れられてきましたが、我々の生活シーンで彼らを目にすることはあまりありませんでした。それが、小売業、サービス業、介護領域等日本人と直接接する職種に進出してきたことによって、「外国人が増えたな」と実感するレベルにまでなってきました。このサービス業で見かける外国人らは、政府による「留学生30万人計画」により、急速に増加した留学生アルバイト。留学生には、資格外活動として、週28時間以内でのアルバイトが認められており、この時間を利用して働く学生が飲食店や小売店を選ぶようになり、我々の目に触れるようになったのです。外国人就労者の数は、約128万人(厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000192073.html)。彼らは、私たちが想像する以上に日本を支えてくれているのです。

ベトナム人材に特化したブログ

本ページでは、海外における人材市場でも注目のベトナム人材について初歩的な疑問から、どのような日本の制度、施策があるのか。また、ベトナム人材を迎い入れるにあたってのメリット、デメリットについて、ベトナム在住者のリアルな目線で分かりやすくお伝えさせて頂きます。オープンデータにベトナム現地での経験を織り交ぜながらご紹介していきますので、ぜひベトナム人採用の際の参考にしてください。

もう迷わない技能実習生と留学生、2つの外国人介護士の能力差について

現在、介護業界における外国人枠は2つあります。

・外国人技能実習
・留学生介護福祉士

EPA枠もありますが、日本語の要求レベルが高く、人数枠も小さいので、今回は含めません。

今回は、この2つの日本語力について検証します。

〔日本語力と介護知識のちがい〕
外国人技能実習生:約10カ月の日本語学習と介護学習のみ。
留学生介護福祉士:国家資格取得し、日本人と同等の介護知識を有する。

外国人技能実習生がシーツ交換や掃除、食事運搬など簡単な仕事をするのに対して、国家資格を取得している留学生介護福祉士は、即戦力となります。

ただ、外国人技能実習生は、採用が比較的容易で、内定から10カ月ほどで渡航し、働くことができます。
しかし、留学生介護福祉士は、採用が非常に困難。現地で、募集した場合は、日本語学校(2年)、介護専門学校(2年)と最長4年かかることになります。

採用が容易で短期間に募集できるが、簡単な仕事しか任せられない「外国人技能実習生」。
採用が困難で育成に時間がかかるが、日本人と同等の仕事が任せられる「留学生介護福祉士」。

各施設のスタッフ構成などによって採用計画が変わってくるでしょう。

最後に、外国人技能実習生と留学生介護福祉士の日本語力を学習時間で比較すると下記になります。
単純に9倍の時間差があります。これだけで、両者の違いが明確になるかと思います。

〔外国人技能実習生〕
約10カ月(N4)@ベトナム

〔留学生介護福祉士
約4年6ヵ月
約6ヵ月(N5~N4)@ベトナム
2年(N2@日本語学校)+2年(N2~N1介護専門学校)@日本


来年からスタート予定の「特定技能」による人材は、外国人技能実習生と同レベルです。


採用してから、「思っていたのとちがう!」とならないよう、両者のちがいを明確に理解しておく必要があります。

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「特定技能」枠が追加された後のベトナム人材の流れの予測

2018年の骨太の方針にて、新たに介護・造船・建設・宿泊・農業という人手不足が深刻な5業種に対して「特定技能」枠で外国人材を受け入れるとの方針が発表されました。その数なんと2025年までに50万人。
まだ方針が発表されただけで、細則が未定なので、どのような人材の供給側としてもどのような対応をすべきか決められません。
今回は、どのような人がこの「特定技能」枠で働くことになるのかを考えたいと思います。
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まず、日本で働きたいベトナム人の選択肢ですが、主に2種類となります。
技能実習
・留学生(アルバイト目的)
※高度人材枠の「エンジニア」は、含めていません。

「特定技能」は、ここに第3の選択肢として浮上してきます。

そして、その枠を希望する見込み層が下記になります。

日本語学校の留学生
●高校生(アルバイト目的の留学希望者)
●高校生(ベトナムでの就職希望者)
●文系大学・短大・専門学生

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●在日留学生
留学生は、現在アルバイトとして、日本の産業に欠かせない存在です。物流、飲食、小売りなど。彼らもアルバイトを目的として留学しています。そんな彼らは、最大2年の日本語学校を卒業すると、進路を選択しますが、ほとんどが、進学か帰国となります。高卒の学生が多く、そのまま就職できる学生はほとんどいません。
しかし、「特定技能」がスタートすると、その門戸が大きく開くことになります。
これまで専門学校に進学してアルバイト期間を延ばしていた学生もここでの就職を希望するでしょう。
日本語学校を卒業しているため、ベトナム現地から連れてくる学生よりも日本語が話せるため、企業としては貴重な人材となります。

●高校生(アルバイト目的の留学希望者)
これまで日本へのアルバイト目的の留学を希望していた学生は、「特定技能」を選択する可能性が高くなります。技能実習制度の過酷さを知っている学生は、これまで日本留学を希望していましたが、やはり年間70万円ほどの授業料が大きな負担となります。日本で稼ぎたいけれど、実習生はイヤという学生が集まるでしょう。

●高校生(ベトナムでの就職希望者)
高校を卒業してベトナムの企業に就職する学生がもっとも人数が多いです。
これらの中から、下記の理由で日本行きを選択していなかった層が、「特定技能」での就労を希望するようになると考えられます。
・実習生は、給料も低く、制約も多いからイヤ
・留学は、学費がかかる
ただ、「特定技能」で日本に行くために、実習生と同じほどお金を積まなければならなかったり、ベトナム国内での研修期間が長くなるようなら、人数は減るかもしれません。

●文系大学・短大・専門学生
経理・経営・語学など、文系に進学した学生は、通訳などの高度な技能を持つ場合を除いて日本で働くことはできませんでした。しかし、「特定技能」枠ができることで、ベトナム国内企業へ就職予定だった人が、日本に来る可能性が増えるでしょう。
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以上、想定される人材層を見てきましたが、すべては「特定技能」資格の自由度と技能・日本語力のレベル要件によって決まります。

現状は、技能実習生と高度人材エンジニアの間に位置する資格と考えております。

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