ベトナム人材採用で知っておくべきこと

高度人材エンジニア・介護人材・留学生・外国人技能実習生ときどき特定技能

ASEANの中でどうしてベトナムなのか

ここでは、日本での就労目的を持った人材を擁するASEAN諸国の中での「ベトナム人」のポジションをお示ししたいと思います。


そもそもASEANとは?

初めて東南アジアに関心を持たれた方々で、いまさら基本中の基本「ASEANとは?」をおさらいしたいと思います。ASEANとは“Association of South‐East Asian Nations”の略称で、日本語では「東南アジア諸国連合」です。加盟国は、この連合が発足した1967年のインドネシアシンガポール、タイ、フィリピン、マレーシアから始まり、その後順次、ブルネイベトナムミャンマーラオスカンボジアが加盟、ラオスが1999年に加入したのが最後になります。地政学的な国々で見ると残りは、パプアニューギニア東ティモールがありますが、未だ正式加盟には至っていません。しかし、その名の示す通り、地域的には東南アジアにおける中小国家の連合体であり、中国、インド、日本等とはある意味利益相反する場合もある国々で構成されています。

 

人材市場として見たASEANの中のベトナム

近年、日本による人材需要が劇増しているベトナムASEAN諸国の中でなぜ選ばれるのかを見ます。
ASEAN諸国は、ほとんどが発展途上国であり、若い国民を抱えている共通点があります。亜熱帯、熱帯地域での生活慣習から、おおらかで時間にルーズ。家族第一で、家族に何かあれば直ぐに帰国と言った点も類似しています。ただ、すべての国の人材が日本の労働市場にマッチしているかというと、そうではなく、個々に検証していくと、経済力や宗教、文化などの理由により候補から漏れ、ベトナム人材に行きつくプロセスが見えてきます。
まず、シンガポール、マレーシアは、ASEANの中でもトップレベルの経済発展を遂げ、日本に出稼ぎを希望する人材が多数いるような国ではありません。タイも同様に国内市場が成熟しているとも言えます。ASEANでもっとも多くの人口を抱え、日本への人材派遣も多いインドネシアは、イスラム国家で「礼拝」や「ラマダン(断食月)」などに象徴される生活様式の問題等で日本での就労に不便さを感じる場合があります。古くから日本に出稼ぎ労働者の多いフィリピンは、公用語が英語ということもあり、出稼ぎと言えば、英語の通じる欧米圏が主流となっています。ミャンマーは、ベトナムに次ぐ人材の宝庫として注目されていますが、国が発展途上にあり、資金を準備して海外に出稼ぎに行く人の数もこれから増加していくという段階です。カンボジアラオスなどその他の国は、人口が少なく、経済規模も小さいため、まだまだこれからといったところでしょう。
結局、ベトナムが、言葉は良くないですが、ASEAN諸国の中で消去法的に残り、かつ、意欲にあふれ、知識や経験を持つ人材が豊富に存在するという理由からベトナムが急浮上していると言えます。


チャイナリスクを考えて

製造業での経営・人事系の方の中には、ひところ中国の安価な労働力を求めて中国の工業団地などに進出されたケースが多いと思います。また、そうした中で多くの企業で成功している場合もあり、良し悪しを判断することはできません。しかし、ジャパンバッシングによる不買運動、不就労行動などで在中国の日系企業を悩ませた時期もありました。こうした一種の「歪」がある中で、中国一国に頼り切ることの是非論があり、また「人材市場」としても中国人材の費用高騰が逆風となる広義の「チャイナリスク」を考慮し、ベトナムへの移転、進出、ベトナムからの人材確保を考える企業が増えています。

 

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